3世代コホート研究へ新たに歩み始めたエコチル調査

センター長 橋本 浩一

 平成23年1月に開始されましたエコチル調査は14年目に入りました。エコチルキッズは小学4年生から中学1年生となりました。福島ユニットセンター(UC)では出生数の約93%にあたる11,914人が継続参加されています(令和6年3月現在)。改めまして、参加者、関係者の皆さまのご理解、ご協力に感謝申し上げます。また、令和5年度開始早々の5月に新型コロナ感染症が5類感染症に移行し、引き続き必要に応じた感染症対策をしながらではありますが、ほぼ新型コロナ感染症流行前の活動に戻りました。ここに令和5年度のエコチル調査福島UCの活動状況を報告いたします。

“対面とオンラインの良さを生かした活動の幅の広がり”
 新型コロナ感染症の流行以来、感染症対策のため様々な活動に制限がありましたが、オンラインの活用により活動の幅が広がりました。主役の子ども達にエコチル調査への関心をさらに持っていただくためのイベントも対面開催を再開し、令和5年8月21日にはいわき市の“アクアマリンふくしま”にて「エコチル★ふくしま サマースクール」を開催しました。また、参加者の参加しやすさに配慮し、食育を楽しく学べる企画として、オンラインにて「親子でチャレンジ マイ弁当をつくろう!」を郡山女子大学食物栄養学科の学生さんのご協力のもと開催しました。参加者が作成したお弁当は「マイ弁当フォト」としてUCホームページに掲載しました。さらに、令和6年2月4日には三春町のコミュタン福島(福島県環境創造センター交流棟)にて、環境セミナーを「SDGs研修基礎編」をテーマとして、対面とオンラインのハイブリットにて開催をしました。これらの参加型イベントは活動の様子を動画配信し、エコチル調査参加者のみならず一般の方もご覧いただき、エコチル調査への理解、周知にも役立てています。さらに、地域運営協議会も各地域での対面開催を再開し、ハイブリット開催としたことにより会議へも多くの委員の方々にご出席いただきました。

“成果の発信”
 調査、研究である本出生コホート調査の目的は、確かなエビデンスを社会に還元することです。全国10万組の母子からのビッグデータによりエコチル調査関連の論文が数多く執筆されています。福島UCでは令和5年度は学術ワーキンググループのメンバーが14通(英文累計62通)の英語論文を発表しました。当UCを含めエコチル調査からの発表論文は当UC、あるいは環境省のホームページからご覧いただけます。また、エコチル調査の社会への還元も進んでいます。「産婦人科診療ガイドライン 産科編 2023」において当UC関係者が執筆した論文が引用されています。特に産婦人科分野ではプレコンセプションケア( Preconception care )の重要性が説かれています。プレコンセプションケアとは将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことです。エコチル調査からも関連する論文が当UCからも含め多数発表されています。

“外部評価による「A」評価”
 エコチル調査は調査の実施に直接参加しない、環境科学、医学等の専門家の中から環境省環境保健部長が委嘱する委員によるエコチル調査企画評価委員会にて、外部評価を毎年受けています。令和5年度の福島ユニットセンターは「A」評価をいただきました。質問票回収率の直近の改善状況、エコチル調査業務全般に関する取組、エコチル調査の成果が評価されました。

“3世代コホート研究への第一歩”
 令和5年度からは、令和6年度から始まる40歳を目途とする13歳以降の調査への準備が本格的に開始されました。これまでは保護者のご理解と熱意に支えられてきたエコチル調査ですが、13歳以降の参加継続は児の意思が尊重されることとなり、これまで以上に子どもたちの本調査へのご理解、ご協力が重要となると同時に大きな課題です。

 今後、エコチル調査は、成人領域、そして両親・本人・本人の児の3世代コホート研究へ発展していきます。本調査から得られる果実がより大きくなることが期待されます。今後とも、関係者の皆さまの御理解と御協力のもと参加者とともに一歩一歩あゆみ続けて行きたいと存じます。よろしくお願いします。

2024年8月

今後ともご協力ください。

副センター長 座 藤森敬也

 平成23年1月から始まったエコチル調査も、皆様方の絶大なるご協力とご支援により平成26年3月末をもってリクルートが終了し、さらに平成27年の1月をもって全てのお母様方のお産も無事終わりました。途中、東日本大震災があり、平成24年10月からは福島県に住む全ての妊婦様が対象となり、合計13,000人を超える方にご参加いただきました。この参加者数は、全国15箇所のなかでトップです。これだけ沢山の方々にご参加いただけたのは、お母様方やお父様方のご協力はもちろんのこと、福島県内の産婦人科医療施設の産婦人科の先生、助産師さん、看護師さん、皆様のご協力なくては達成できませんでした。本当にありがとうございました。
 今後も福島ユニットセンターやメディカルサポートセンターがサポートして参りますので、将来の子供たちの健やかな成長のための調査に今後ともご協力下さい。

これからもよろしくお願い致します。

副センター長  安村 誠司

 エコチル調査は、2011年の開始から、早や8年目に入りました。全国で10万人の参加者を目標として調査への参加を募った結果、福島のお母さんの登録数は、延べ人数で13,131人(2017年3月24日時点)となっており、全体の12.7%になります。これは、福島県では、東日本大震災後の全県の妊産婦の方の不安に対応すべく、対象地域を全県に拡大したことによります。
 さて、エコチル調査は、環境要因(特に環境化学物質)が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにすることが目的です。私たち福島ユニットセンターでは、エコチル調査の目的を踏まえ、福島の参加者の皆様の貴重なデータを適切に解析し、「福島で安心して産み、育てられる環境を作っていく」ために役立てていきたいと考えています。皆様には、本調査に引き続きご協力頂ければと存じます。皆様と皆様のご家族のご健勝を祈念しております。

2018年4月

よろしくお願い致します。

副センター長 小児科学講座 郷勇人

 この度、2024年7月より、エコチル調査福島ユニットセンターのメンバーに入れていただきました。エコチル調査では、子供の健康や成長に影響を与える環境因子を明らかにして、より子供が健康に成長できる環境と、ご家族が安心して子育てできる環境を実現できることを目指します。ユニットセンターの中でも福島県では多くの方に参加いただいております。参加者皆様のご協力があって初めてできる調査ですので、参加いただいた皆様には感謝申し上げますとともに、今後とも調査にご協力のほど、どうぞよろしくお願い致します。

2024年7月

ふくしまから世界へ

福島ユニットセンター 副センター長 福島県医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 教授 西郡秀和

 2019年4月より、福島の仲間にいれていただきました。前任は東北大学病院産婦人科で、エコチル調査には開始時から関わっております。
 エコチル調査はご存じのように、多くの方々のご協力のもとに成り立っています。その貴重なデータを解析させていただき、おかげさまで、興味深い成果が次々と得られてきました。それらを通じて私が感じたことは、エコチル調査は、どちらかというと、病気や障がいに関わる危険因子は何か?ということに注目されがちです。しかし、発想を逆転すると、どのような環境(食生活など)だと、お母さんやお父さんはより順調な妊娠・産後の生活を過ごすことができるのか、子どもたちはより健やかに成長することができるのか、そのためにはどのような環境づくりをすればよいのか、という貴重な情報がたくさん詰まっていることを改めて実感しています。
 これは、日本だけでなく国際的にも非常に大切な情報です。福島から世界の、そして未来の子どものために、今後ともご協力とご支援をお願いいたします。

2019年7月

ありがとうございます。

副センター長 細矢光亮

 子どもを取り巻く生活環境が心身の成長発達に大きな影響を与えていることに異論はないと思います。しかし、養育環境以外の環境要因、たとえば化学物質が身体の発育、精神の発達、疾病の発生にどのような影響を与えているのか明らかではありません。環境省による「子どもの健康と環境に関する全国調査」は全国で生まれた10万人の子どもの健康を長期間にわたり調査する壮大な調査であり、この調査に参加できることに誇りを感じるとともに、その調査結果に大きな期待を寄せています。次世代の子どもたちにより良い環境を残すため、是非調査へのご理解とご協力をお願いいたします。

未来のこどもたちの健康な暮らしのために

情報管理責任者 福田冬馬

 エコチル調査にご協力してくださっているお子さんやご両親、また、医療機関や関係者のみなさまに深く感謝申し上げます。みなさまのご協力のおかげで、2011年から開始した本調査からはたくさんの成果が発信され、これから生まれてくるお子さんたちが健康に暮らすことのできる社会づくりに役立てられています。その成果は国内外の多くの方から注目されており、13歳以降も調査を継続していくこととなりました。これからも、わたしたちも未来のこどもたちのより良い健康な暮らしを目指して、積極的に情報を発信していきたいと思います。参加者ならびに関係者のみなさま、今後も本調査へのご支援・ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

2023年4月

エコチル調査、新たなステージに向けて

長坂 雄一

2023年4月より、福島ユニットセンターの一員となりました。実は2013年に環境省でエコチル調査の担当をしており、当時は東日本大震災の後に福島県がエコチル調査の対象を全県に拡大したばかりの時期でした。その際は大勢の福島県の方々にご参加いただき、本調査への期待の大きさと責任を感じていたことを思い出します。それから10年たち、調査は順調に進んで当時調査に参加して生まれたお子さんが小学校高学年となり、いろいろな成果も出始めた中、改めてエコチル調査に関わることになったことは感慨深いものがあります。調査は当初は13歳までの追跡調査で結果をとりまとめる予定でしたが、13歳以降も継続されることとなり、エコチル調査の重要性と成果への期待が益々高まっていくことでしょう。エコチル調査が新たなステージに入っていくこの大事な時期、参加者のみなさまに引き続きご協力いただけるよう創意工夫を重ねながらエコチル調査の実施に貢献していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

2023年4月

皆さまのご協力はエコチル調査にとってかけがえのないものです

リスク管理責任者 福島県立医科大学 小児科学講座 医科大学助手 佐藤晶子

 福島をはじめ、全国のエコチル調査に参加してくださっている子どもたちは、この春3歳から6歳になりました。また、平成23年度生まれのみなさんは小学1年生になりました。おめでとうございます!
 福島県で協力してくださっている保護者の皆様は、東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故後の大変な時期に、『未来の子どもたちの子育てや環境のために』とお子様の妊娠中から今日まで長い期間ご協力をいただいています。育児などでお忙しいところ、半年に1回質問票を送ってくださり、大変ありがとうございます。
 今後、子どもたちが学童期(小学校入学以降)になりますと、質問票をお願いする時期など幼児期と変わってゆくものがあります。年4回お届けしているニューズレターなどであらかじめご案内を差し上げますけれども、ご不明な点がございましたら福島ユニットセンターへお問い合わせください。
 また、県内関係医療機関、行政機関の皆様のご理解とご協力に感謝いたします。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2018年4月

皆様のご協力に感謝いたします

福島県立医科大学 小児科学講座 医科大学助手 菅野恵子

 令和6年4月より、13歳以降調査が始まりました。中学生となった子どもたちと、ご家庭で改めてエコチル調査について話し合う機会もあるのではないでしょうか。送付された資料などを見ながら、エコチル調査に参加されたきっかけや、協力してきた思いなどを、親子で共有していただければ嬉しく思います。
 福島においては、東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故、またここ数年のコロナ禍で、多くの方が不安や迷い、悩みを抱えながら子育てをしてきました。福島ユニットセンターでは、どんな時も「単なる調査」で終わるのではなく、参加者の皆様に「寄り添う」ことを大切にしてきました。そして、これからも子どもたちの成長を共に見守っていきたいと思っております。
 皆様のご協力のおかげで、これまでに多くの研究成果が得られていることに感謝いたします。子どもたちが安心して健やかに育つ環境をつくるため、今後ともエコチル調査へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

2024年5月